イースターとバイリンガル詩集

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イースターが来ると、自由が丘で西端しづかさんと過ごした
数年前の春の夜のことを思い出す。

「詩人の聲」公演が終わり、アイリッシュのバーで
みなさんはギネス、わたしはジンジャエールで喉を潤し、
西端さんのギャラリーに戻ってきてから深夜まで語らい、
西端さんは、当時、病の床にあった友人のことを一緒に祈って下さった。

ギャラリーの白い大きなソファベッドに泊めていただいた。
深夜まで通りを歩く人の気配がした。
しだいにギャラリーの窓が明るみ、
都会の朝の音は爽やかだった。

昨年9月、「詩人の聲」に出演するため
久しぶりに自由が丘を訪れると、
ピザのお店、pecoは閉店していた。
ご主人が亡くなり、店は改装工事の真っ最中だった。
ユニークで、ちょっと偏屈で、話し好きなご主人だった。
ギャラリーの開場時間まで、たいていpecoで過ごした。
ご主人はわたしが焼いて持参した抹茶のマーブルケーキを
美味しいとほめて下さった。
ほんもののポルチーニ茸のこと、オニオングラタンスープの作り方など、
いろいろなことをご主人から教わった。

近くに移転した、西端さんの新しい「カシュカシュダール」は
すぐに見つかった。
(カシュカシュダールは、アートのかくれんぼ、という意味なのだそうだ)
新しい建物の基礎には、聖書が埋められている。
ステージに立つと、洞窟の内部に潜んでいるようにも、
宇宙に抱かれていうようにも思われた。
そのような場所に身を置くことができ、
声の喜びを分かち合う人たちがいて下さり、
このうえなく幸せだった。

自由が丘にまた行きたいなと思っている。
今は難しくても、夏か秋にはきっと。





昨春、40年来の友人が送ってくれた仙台枝垂れ桜が
可憐な花をつけた。
しみじみとうれしかった。
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両親がお世話になっている介護施設と病院とを往復し、
ついにわたしも体調を崩してしまい、
自宅にひきこもって過ごした。
いろいろな方に助けていただいて、ようやく春が来た。

詩人会の大切な集まりを欠席して司会を交代していただいたり、
いろいろなお誘いを断ったり、
失礼をどうかおゆるし下さい。




http://www.ama-hashi.com/Duet-of-Water.html

もうすぐ、バイリンガル詩集ができあがります。
イタリアの女流詩人ドナテッラ・ビズッティと北原千代による
『水の二重奏』
何人もの方が翻訳プロジェクトに加わって下さいました。
イタリア語、英語、日本語の作品にご期待下さい。















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# by marburg_bara_iro | 2018-04-10 21:27 | Trackback | Comments(2)

『樽とタタン』

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可燃ごみを捨てに行こうとよろよろ歩いていたら
頭上からなにかちいさいものがぽっと落下し
足もとに落ちた。

よく見ると、金柑の実だった。
鳥が半分ほど啄んで、もう飽きたのだろうかそれとも
なにかの合図だろうか。



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『樽とタタン』中島京子著 新潮社刊

新聞広告でタイトルと作者名を見たとき
あっこれだと思った。

タルトタタン、なんという魅惑的な、おいしそうなタイトル!
林檎のお菓子の生みの親、かのタタン姉妹のことを想像した。

これはぜひ読みたい。
『小さいおうち』を読んでからすっかりファンになった
中島京子さん作だから、迷わず注文した。

届いてすぐ、刺激的な蛍光ピンクの帯を外して扉の内側に挟んだ。
帯に書かれていた文章はすてきだった。
「小さな喫茶店でタタンと呼ばれていた私が
 常連客の大人たちから学んだのは、
 愛の不平等やしもやけの治し方、
 物語の作り方や別れについて」
しもやけの治し方、とくにこの章を早く読みたかったけれど、
おちついて、おちついて。
帯を外した本は少しもさみしげでなく
かえって落ち着いているように見えた。


やっぱり「タルトタタン」からとられた名まえだった。
最初にそれがわかって、ちょっとうれしかった。

「ぱっと消えてぴっと入る」
この章まで読み進めると
常連の小説家からタタンと名づけられた主人公が
小学生のぶんざいでどうして喫茶店で毎日、放課後を過ごすようになったのか
よくわかる。
祖母とタタンの日々と別れを描いたこの章は
切なくて懐かしくて、あたたかくて忘れがたい。

「小説家には一つだけ、聞かれても答えなくていい質問がある」
最終章では、作者の中島さんがほんとうは誰にも秘密にしておきたいようなこと、
つまり小説と小説家の醍醐味のようなことを
登場人物の小説家についつい語らせ、なにか種明かしめいてくるけれど、
そんなこと、もうどうでもよくなるくらい
わかっていながらひきこまれて出られなくなり、出てもまた
入りたくなってしまう、そういう本です。























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# by marburg_bara_iro | 2018-03-03 16:57 | Trackback | Comments(0)

春を待ち望む鳥たち

この冬は、長くきびしいです。
いかがお過ごしでしょうか。
しばらくごぶさたしてしまいました。
その間にも、忘れずここを訪れて下さったみなさま、
ありがとうございます。



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豪雪の被害が伝えられている山形、新潟、富山、福井… 
お世話になった方々や、詩集や詩誌を
送っていただく方々のことを思い浮かべています。

この冬は、わが家もちょっとたいへんでして、
あたふたとしています。

畑の柿の木に留まる小鳥たちも、きっと
春を待ちわびているのでしょう。


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介護のプロをはじめ、いろいろな方のお世話になって、
冬を過ごしています。

うれしいこともありました。
雪深くきびしい寒さの信州の友人からは、お手紙と共に
真冬の畑からの、果物と野菜がたっぷり届きました。
雪下ニンジン、白菜、山芋、林檎、たいへんおいしく
滋養があって身にしみます。

それから、村に暮らす芸術家ご夫妻の居間を訪れた雪の夜、
「炬燵」と「林檎のおやつ」を提供していただきました。
その日わたしがほんとうに必要としていたものを、
黙って与えて下さったのです。

あたらしい表現のことを教わっているあいだずっと
室内の土壁に、カミキリムシの成虫が留まっていました。
長い触覚が、ほんのわずかに動くので、それが生きているとわかりました。

炬燵のなかで、こわばった心身がしだいに温まり、
ときはなたれていくのがわかりました。
帰り道も雪降りでしたが、少しも寒くありませんでした。

翌朝、久しぶりに定点観測の小窓を開けると、
美しい朝焼けでした。



















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# by marburg_bara_iro | 2018-02-15 17:31 | Trackback | Comments(0)

思いがけないプレゼント

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40年ぶりに出会った友人から、
すてきなプレゼントが届きました。

ユーカリ、スギ、モミ、ヒバ、スモークグラス、ローズマリー、ラベンダー、
ペパーミント、ナンキンハゼの実、レモングラス、松かさ…
とても香しいフレッシュハーブの、豪華なリースです。

いきいきとして、とても香しく、爽やかな気持ちになります。

このところ、ちょっとくじけてしまいそうでしたが、
冬来たりなば春遠からじ、ですね。
友人がそう言って励ましてくれているように感じます。





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気まぐれ更新のブログを、忘れず訪れて下さるみなさま、
ありがとうございます。

良いクリスマスをお迎え下さいね。












































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# by marburg_bara_iro | 2017-12-20 20:31 | Trackback | Comments(2)

晩秋から一足飛びに

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 晩秋の西教寺はこのようでした。

 


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そしてこれは、定点観測の小窓から見る朝焼けです。


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翌日から一気に冷えて、ずんずん雪が降り積もり


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おおかた解けましたが、今もまだ
日陰には少し雪が残っています。


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ああわたしはこのごろ、書物をほとんど読めていない。
用事に追われ、その日暮らしのようになってしまっています。





























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# by marburg_bara_iro | 2017-12-20 20:05 | Trackback | Comments(0)

2017年秋から冬へ

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冬の晴れ間に、山々は和んでいます。


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風が強く、雲の動きが活発です。

陽だまりは、こんなふうです。


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ここを訪ねて下さったみなさまへ
お忙しいなかにも、ほっとするひとときがありますように。













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# by marburg_bara_iro | 2017-12-06 09:24 | Trackback | Comments(0)